肉腫とは?
肉腫は、筋肉や神経、骨などの結合組織に発生する悪性腫瘍で、体中どこにでも発生する可能性がありますが、四肢の深部に発生し見つけにくいことが多いです。肉腫は、スポーツ障害や良性の腫瘤と誤診されることもあります。肉腫はまれな腫瘍であり、成人発生悪性腫瘍の1%以下の頻度ですが、小児では悪性腫瘍の21%近くを占めます1。肉腫は、肉腫の治療経験が豊富な病院で集学的に診断・治療されるべき疾患です。肉腫は時に進行が早く、治療が困難なこともありますが、それでも多くの肉腫患者の写真が治癒しています。
肉腫の種類
肉腫には50種以上の組織亜型がありますが、大きく軟部肉腫と骨・関節の肉腫に分けられます。
軟部肉腫は、全悪性腫瘍の1%弱を占めます。アメリカ合衆国では1年間に約11000人の方が軟部肉腫と診断されます。
原発性悪性骨腫瘍は全悪性腫瘍の0.2%弱を占めます。アメリカ合衆国では1年間に約2900人が骨および関節の肉腫と診断され、その約半数は35歳以下です。
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肉腫はどのようにして診断されるの?
患者さんは複数の医師の診察を受け、いろいろな検査を受けてはじめて肉腫を疑われます。肉腫の確定診断は通常、検査のために腫瘍組織の一部を採取する生検によって下されます。どの部位から生検を行うかは簡単には判断できないので、生検は肉腫専門医によって行われるべきです。
生検の後、病理医は顕微鏡を用いて腫瘍組織を観察し、組織型の確定診断と腫瘍の悪性度判定を行います。この病理診断は肉腫の病理に精通した病理医によって行われるべきものです。通常、生検や各種検査結果に基づいて、病期分類(体内でどのように腫瘍が拡がっているか)が決定されます。
肉腫はどのように治療されるの?
組織型や悪性度、病期分類によって肉腫の治療方針は異なりますが、基本的には、切除可能な病変はほぼすべて手術で治療されます。手術の目標は、すべての病巣をり患部から取り除くことです。低悪性度の肉腫は手術のみで治療されることもありますが、腫瘍が体中に拡散することを防いだり、減らしたりするため、多くの肉腫では化学療法と放射線治療の両者もしくはいずれかの補助療法が手術と併用されます。これらの補助療法は術前または術後に必要になる場合があります。
患者さんとご家族は、肉腫治療の大変さとそれに要する期間の長さに驚き落胆されることがあります。治療に伴う副作用を克服することは大変な努力です。情報提供などを通じて患者さんとご家族は支援団体に参加することもできます。それらの支援団体は重要な情報源であり、治療において大きな力を与えてくれるものです。
肉腫は治るの?
治癒とは、永久的に病気が取り除かれたことを意味します。肉腫の多くは治癒可能であり、とりわけ、(a)手術だけで治療可能な低悪性度腫瘍、(b)小児発生肉腫は治癒可能です。いまだに多くの医師が肉腫について語るときには”治癒”という言葉を使いません。Dr. Bueckerは以下のように述べています。
多くの種類のがん腫とは対照的に、肉腫では確実に“治癒”したと感じられる時は実際にはありません。肉腫は一生をかけて付き合っていく病気であり、一生涯の診療が必要です。とは言うものの、たいていの再発や転移は治療後2-5年のうちに発見されます。患者さんが5年目の区切りを迎えた後には再発の危険性は大きく減少します。しかし、それでも依然として再発の可能性は存在します。
肉腫は最初の診断から長期間たって再発することがあるため、治療終了後も長期にわたり、外来受診をして定期的な検査を受ける必要があります。肉腫治療後の生存者の中には、自身の経験を共有して肉腫患者の写真を励ます人もいます。
日本語訳
Makoto Endo 遠藤 誠
Kyushu University 九州大学整形外科
1. Burningham, Hashibe, Spector and Schiffman. The epidemiology of sarcoma. Clinical Sarcoma Research. 2012 Oct; 2(14).